白書といえば、分厚く取っつきにくい政府刊行物の代表のように受け取る向きも多いが、実はさまざまな情報が詰まっており、読み方次第では大変有用な書物に変身する。
このほど発表された2012年版中小企業白書なら真っ先に女性の起業を取り上げた部分に目を向けるべきだろう。特に東日本大震災と福島第1原発事故のダブルパンチに見舞われた福島県にあるNPO法人「素材広場」を紹介しているところが注目点だ。
素材広場はリクルートのじゃらん事業部勤務後、故郷の会津若松市に戻って起業した横田純子さんが理事長を務めている。
福島県内の野菜や果物などを地元で消費する地産地消を実現するため、生産者と県内の旅館やホテルの経営者らをつなぐネットワークをつくり、宿が地元の素材を使うような仕掛けをつくった。観光産業の振興とともに風評被害に負けないようにと福島ブランドの再構築にも貢献している。
柔軟な発想によって新規需要が掘り起こされる。それが女性の雇用につながるだけでなく、地域や社会に変化をもたらしていく。女性起業家がドンドン育っている状況は少子高齢化やデフレで閉塞感が強い日本経済に活力をもたらす役割が期待できよう。
しかし、問題は家事や育児、介護などを抱え、経営との両立に悩む女性経営者が多い点である。求職活動をしていないが、就職を希望している女性の数は約342万人。求職しない理由として女性が挙げる理由の約3割が「家事・育児」だ。
とはいえ、そうした困難についても女性同士が集まって何とか打開していこうとしている。白書が紹介するのは地元産米粉を使用してパンやケーキなどを製造・販売している長野県の有限責任事業組合「こめのこ工房なごみや」だ。ここでは家事や育児という課題を複数人が集まることで支え合っているという。
政府や多くの企業が女性の働く環境整備をおろそかにしている間にも、共に工夫して働く場を確保しようとしている。女性起業家らの柔軟な取り組みには脱帽である。


by 8000hr
次の牽引役は医療機器だ